ダイハツの不正 主軸がズレていないか?

「ユーザーがとにかく可哀想」私はそう言える自信がある。

日本の道が作り出した軽自動車、それを主軸に競合と競い合いながら魅力的なクルマをたくさん作り出してきたダイハツ工業の多くの不正が明らかになった。

ユーザー数の多さも想像に難くない。

 

昨年、先に第三者委員会、後にダイハツトヨタで記者会見を開いた。概ね内容はニュースリリースと一緒だったが社長と両社副社長が登壇し、質疑応答の時間も設けられた。

私はここで大きな嫌悪感を抱くことになった。

メディアの質問があまりにも会社優先だったからである。

会社の今後がどうなるのか、社長辞任の可能性などと確かにそこも気になるが、行き過ぎた質問であったり、そもそもクルマに詳しくない方が質問されていた為に繰り返しが多く、正直くどくなっていた。

株主(ダイハツは上場していないのでトヨタ)からすれば業績にどれほど害を及ぼすのか気にはなるが、これをまた別のメディアから聞く人もいてユーザーへの対応を聞くメディアの姿はなかったのである。

 

(※あの場では「ベストカー」さんがユーザーへの対応を聞いてくださっていた)

 

もちろんメディアだけ批判をする気はさらさら無い。

この根底にあるのはダイハツの数十年に渡るユーザーを見下したような不正行為だ。

一部車種は生産の再開が告知された一方で、リコール届けを今すぐ出すべき車種にそれを出していないダイハツには憤りを覚える。

少なくともダイハツ「キャスト」とトヨタ「ピクシスジョイ」は事故があった際に命に大きく関わってくる。一刻も早い対応が必要に思える。

 

走れば人が見え、まちが見え、その場に必要なクルマが見える。先に述べた様に日本が作り出した軽規格、ダイハツの主軸は軽市場だ。ダイハツ車は20代から60代もしくはそれ以上の年代の方が幅広くお乗りになられている。ユーザー数も多いに違いない。

遡れば34年前(最初は1989年)から不正は続いていたのである。

生涯ダイハツ車に乗られる方もいらっしゃるかもしれない。34年という長い月日を人に例えれば生まれて成人を迎え、人によっては新たな家庭を築かれているかもしれない。その過程でダイハツ車とともに育ってきた方、乗り継いで来たユーザーもいたかもしれない。

クルマは決して安くない、本当に大きな買い物である。

もしくは初めて自分で操るクルマ、ずっと乗りたかったクルマがダイハツ車だったという人もいるだろう。

業界問わず会社は単体で成り立っているわけではなく、そこで働く人がいて企業があってユーザーがいてはじめて成り立つものである。

我々の様な一般人から見れば、そういったユーザーの方々に対しどの様に向き合って行くのか早く教えてほしいと思うのは当然のことではないだろうか。

この点はまずダイハツないしはトヨタから、不十分であると判断するのであればメディアが言うべき・聞くべきことであると考える。

 

これは本当に私の考えになるが、この不正に関わっていない関係者を除いて、ダイハツを許す気にはなれない。信頼と不安はお金で解決できるものではない。

信頼を失う行為をしたダイハツに私は失望すら覚えた。

不正をしたメーカーは多いが人命に関わるケースにおいてそのメーカーの「らしさ」を取り戻すのにはものすごく長い年月がかかる事は歴史が教えてくれるはずだ。

ダイハツがどのようにユーザーと向き合っていくのかそこを私は注目したい。