軽商用EVは夢物語じゃない!ASF2.0はなかなか面白そうなクルマになっている!

商用EVの可能性はどこまで伸びるのだろうか。

軽自動車規格のEV化はハードルが高い。バッテリーによる積載量の低下、従来の軽自動車に比べて割高な価格など改善点が多い。

そして何より、軽商用EVの選択肢が少ない。

トヨタ「ハイラックス」、ホンダ「WR-V」は輸入車だ。そして紹介する「ASF2.0」もまた輸入車である。軽商用EVの輸入車という何とも耳慣れないワードに戸惑うかもしれないが、これは軽規格に対する新たな挑戦と言えるだろう。

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(画像引用元:ASF株式会社)

 

ASF株式会社の沿革

「ASF2.0」には面白い歴史がある。

大手物流メーカー佐川急便は2020年、ASF株式会社(本社:東京都千代田区)と共に軽商用EVの共同開発および実証実験を開始する事で合意。翌年の2021年にはコスモ石油双日と業務提携した。

昨年は初公開から3年の時を経て、佐川急便に働く7200人の意見を集約して出来上がった「ASF2.0」の納車が開始。まずは佐川急便とマツキヨココカラの2社からスタート。数日後にはコスモ石油マーケティングの展開する「コスモ My カーリース」を用いてリース販売も始めた。

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(画像引用元:ASF株式会社)

この「ASF2.0」は個人販売ではなくリース販売という形を取る。

他にもオートバックスセブンなどの企業と協業し、徐々に勢いが付いてきている「ASF2.0」の開発及び製造は中国の上汽通用五菱汽車が担当。車載バッテリーにはCATLのリン酸鉄リチウムイオンバッテリーを採用。中国製と言えど聞き覚えのあるメーカーばかりだ。以上のことからASF株式会社はファブレスメーカーである事がお分かりになるだろう。

 

デザインは従来の軽を超える

軽規格のデザインは思う以上に難しいことは想像に難くない。SUVやコンパクトカー以上に厳しく定められた寸法に自社らしさを反映しなくてはならない。

「ASF2.0」はどうだろうか、ブーメラン型のLEDのデイライト(ウインカー兼用)に2段のLEDヘッドライト、ボディと馴染むグリルを採用。

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(画像引用元:ASF株式会社)

テールは一文字の両端にコの字を使い、軽規格のある種短所である四角さを活かしている。

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(画像引用元:ASF株式会社)

インテリアに真新しさは正直無いが、軽の商用であればこれくらい割り切って良いと思う。

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(画像引用元:ASF株式会社)

 

従来の軽商用と比べると…

EVとしての懸念点をどれだけクリア出来ているだろうか。

直接の競合となるのは三菱「ミニキャブEV」やホンダの「N-VAN e:」だ。

「ASF2.0」のサイズは全長×全幅×全高で、3,395×1,475×1,950(mm)

ミニキャブEV」と比べると全高だけが35mm高くなっている(それ以外は同数値)上に、軽自動車規格の中ではかなり背が高いということになる。

しかしながら車両重量と最大積載量は「ミニキャブEV」と全く同じ値(1,130kg/350kg)を示しており、「N-VAN e:」での最大積載量は300kgであるため、「ASF2.0」の方が競合よりたくさん載せられるというまさかの結果に驚きが隠せない。

総電圧は「ミニキャブEV」に対して10Vほど低い320Vとなっている。一方でバッテリー容量は30kWhと競合より10kWhほど多い。

EVの購入時に気にしたい航続距離は243kmとミニキャブEV」より長く走る事が出来る。

スライドドアを開けると台車やEV用充電器を入れることもできるという優れている点も述べておきたい。

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(画像引用元:ASF株式会社)

ただし商用は乗用とは異なり実用性が求められるため実際に乗ってみた方が良いだろう。

 

軽商用EVをどう見るべきか

EVの扱い(販売〜使用、廃棄に至るまで)が難しく購入手前で足踏みする方の意見も大いに尊重したい。

少し前まで日本でもEVが売れる、メーカーもEVだけ造るというという計画を描いた会社が多かったがそれを変える動きが世界各国から見える。

持論として少なくともEVひとつに縛ることに大きなリスクを感じるが、EVはまだまだ可能性を秘めていると思うのも事実である。

本題から少しズレるが全固体電池やインフラの整備等が整えばそちらが欲しいと手を挙げる人は増えてくるだろう。

今ではなくまだ先の未来ではEVはそこそこの立ち位置に来ると思っていて(少なくとも現在のHEVの位置に来るのは難しいかもしれない)、今はまだ準備期間と仮定している。

ただ軽規格の乗用であれ商用であれ、軽EVの選択肢というのは極めて少ない。軽自動車を日本の道がつくったと言うのであれば、EVで新たな道を切り拓くこともまた軽自動車メーカーのひとつの役割ではなかろうか。そういった意味も込めて1発目から軽商用でスタートしたASF株式会社の今後には目が離せない。